はじめに:初めての葬儀に不安を感じるあなたへ
「葬儀を行うことになったけれど、何から始めればいいのかわからない」
「葬儀マナーに自信がない」
「費用が心配」
このような不安を抱える方は非常に多いです。
実際、葬儀は人生の中でそう何度も経験するものではなく、いざというときに戸惑うのは当然のことです。
筆者も葬儀屋で働く前は、祖父の葬儀に2度参列しただけの素人でした。
しかし、現在葬儀屋で経験を重ねていく中で、「葬儀には3つの基本」があると気づきました。
①流れを知る ②準備を整える ③マナーを理解する
この3つを押さえるだけで、葬儀の不安は大きく減ります。
この記事では、現役の葬儀屋スタッフである筆者が、実体験を交えながら葬儀の流れ・準備・費用・マナーをわかりやすく解説します。
葬儀の基本的な流れを理解しよう【時系列で解説】
葬儀は、故人を偲び、感謝を伝える大切な儀式です。
しかし実際には、「何をすればいいの?」「順番がわからない」という方が大半だと思います。
まずは以下の一般的な葬儀の流れをご覧ください。

都市部では火葬場の混雑により、亡くなってから数日後に通夜や葬儀を行うケースも増えています。
筆者が担当したご遺族の中にも、火葬場が混み合っており、安置期間が長くなったことで不安を抱える方がいました。
その際は「安置中のご遺体のお手入れ方法」や「ご家族での過ごし方」を丁寧にご案内し、安心していただけました。
このように葬儀の流れを知っておくことが、心の準備や安心にも繋がります。
葬儀前にやっておくべき準備【トラブル防止のポイント】
葬儀は突然やってきます。
いざというときに慌てないために、最低限の準備をしておきましょう。
1. 葬儀屋の選び方
複数の葬儀屋から見積もりを取り、費用・対応・信頼性を比較することが大切です。
安さだけで選ぶと、後から追加料金が発生するケースもあります。
数ある葬儀屋の中には、プランの内容や料金の内容が曖昧だったり、故人をきちんと大切に扱ってくれているのかとご遺族が不安を覚えるような、いい加減な担当者も存在します。
「担当者の説明が丁寧であるかどうか」が、良い葬儀屋を見極める最大のポイントです。
2. 葬儀形式を決める
最近は「家族葬」や「直葬(火葬式)」など、シンプルな形式が主流になっています。
故人の希望や家族の意向を尊重し、最も納得できる形を選びましょう。
3. 会場・日程の確保
火葬場や式場の空き状況によっては日程調整が必要です。
特に都市部では早めの予約が大切です。
4. 参列者リストと訃報連絡
家族で分担して関係者に連絡を取るとスムーズです。
後から「知らせてほしかった」と言われるケースも多いため、リスト化がおすすめです。
葬儀の種類と特徴を比較【自分に合った形式を選ぶ】
| 葬儀の種類 | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 一般葬 | 多くの参列者を招く伝統的な葬儀 | 社会的な弔いができる | 費用が高め |
| 家族葬 | 家族・親族・親しい友人のみ | 静かで落ち着いた雰囲気 | 後日弔問対応が必要なことも |
| 直葬(火葬式) | 通夜や葬儀を省略し火葬のみ | 費用・時間を大幅に削減 | 形式的なお別れができない |
| 市営葬儀 | 自治体が運営 | 費用が安くサービスが安定 | 会場や内容に制限がある |
葬儀屋の現場では、7割以上が家族葬です。
「親しい人たちだけで、静かに見送りたい」という声が年々増えています。
葬儀後に「本当に落ち着いてお別れできた」と言われる瞬間は、スタッフとして何より嬉しいです。
葬儀費用の相場と内訳【予算の立て方】
葬儀費用は形式や地域で差がありますが、家族葬で50〜80万円、一般葬で100万円前後が平均です。
| 費用項目 | 内容 | 相場(円) |
|---|---|---|
| 基本料金 | 式場使用料・人件費など | 30万〜60万 |
| 祭壇・棺・遺影 | 葬具・装飾 | 10万〜40万 |
| 飲食・返礼品 | 通夜料理・香典返しなど | 10万〜30万 |
| 僧侶へのお布施 | 宗派により異なる | 5万〜20万 |
| 火葬・霊柩車 | 火葬料・搬送費など | 3万〜10万 |
見積もりを取る際は、「総額費用」「追加料金の有無」を必ず確認しましょう。
筆者が担当したご遺族の中には、「追加料金ゼロのプランにしてよかった」と安心された方も多いです。
葬儀マナーと服装【失礼にならないための基本】
葬儀では「ご遺族への敬意」と「静かな振る舞い」が大切です。
服装マナー
| 区分 | 男性 | 女性 | 共通 |
|---|---|---|---|
| 正装 | 黒スーツ+白シャツ+黒ネクタイ | 黒スーツまたはワンピース | 数珠・香典袋・黒ハンカチ |
| 靴 | 黒の革靴(光沢なし) | 黒のパンプス(低ヒール) | 光沢のない手提げ袋 |
香典は、友人・知人で3,000〜10,000円、親族で1〜3万円が目安です。
言葉と立ち居振る舞い
-
遺族には「お悔やみ申し上げます」と一言伝える
-
私語を控え、静かに焼香する
-
退席時は遺族に一礼して退出
現場で感じるのは、「形式よりも心」。
礼儀正しく丁寧な姿勢こそが、最も大切なマナーだと日々実感しています。
葬儀後の手続きとアフターフォロー【忘れがちなポイント】
葬儀が終わっても、ご遺族には多くの手続きが残ります。
| 手続き内容 | 期限・注意点 |
|---|---|
| 死亡届の提出 | 7日以内に市区町村役場へ |
| 健康保険証・年金証書の返納 | 速やかに |
| 生命保険の請求 | 契約内容によるが早めに |
| 相続手続き | 3か月以内に放棄・承認の判断 |
| 四十九日法要の準備 | 僧侶・会場の早期手配 |
筆者の会社では、葬儀後も葬儀担当者が引き続きご遺族を支援します。
「何から手をつければいいか分からない」と言われる方も多く、行政手続きや法要準備を一緒に進めていく中で、
「最後まで支えてくれてありがとう」と言葉をいただくたびに、この仕事の意義を感じます。
まとめ:葬儀の不安は「知識」と「準備」で解消できる
葬儀は悲しみの時間であると同時に、故人と過ごす大切な「最後の時間」です。
正しい知識を持ち、信頼できる葬儀屋に相談することで、不安や混乱を減らすことができます。
ポイントまとめ
-
葬儀の流れを理解しておく
-
葬儀屋を比較して選ぶ
-
適切なマナーを身につける
-
葬儀後の手続きを忘れない
近年は、無料相談会や事前見積もりを行う葬儀屋も増えています。
「まだ早い」と思う時こそ、情報を集めておくことが大切です。
“備えあれば憂いなし”
正しい準備と知識が、故人を安心して見送る第一歩です。

コメント