葬儀屋が舞台の本や映画はいくつかありますが、
その中でも現役葬儀屋である筆者が引き込まれた作品、
『ほどなく、お別れです』
をご紹介します。
『ほどなく、お別れです』長月天音
『ほどなく、お別れです』のあらすじは次の通りです。
就職活動で連戦連敗の清水美空は、ひょんなことから葬祭プランナー・漆原礼二と出会い、導かれるように──葬儀会社「坂東会館」でインターンとして働き始める。
教育係となった漆原からの厳しい指導の数々に、日々心をくじかれそうになる美空だったが、彼の遺族や故人にとことん寄り添う心遣いや所作、そして出棺のときに優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿にいつしか憧れを抱くようになる。
永遠の別れは、誰にでもやってくる。残された遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは何か。
美空は、漆原と一緒にその問いに向き合うなかで、彼の背中を追いかけるように自身も葬祭プランナーを目指すことを心に決める。
そして「ほどなく、お別れです」の言葉に込められた本当の意味を知っていく――。
『ほどなく、お別れです』長月天音
小説版は三部構成になっています。
『ほどなく、お別れです』
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ほどなく、お別れです [ 長月 天音 ]
『ほどなく、お別れです それぞれの灯火』
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ほどなく、お別れですそれぞれの灯火/長月天音 / 小学館
『ほどなく、お別れです 思い出の箱』
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ほどなく、お別れです 思い出の箱 [ 長月 天音 ]
漫画版『ほどなく、お別れです』もありますが、筆者は小説版をオススメします。
なぜなら、情景や心情は文字で読んで頭の中に思い浮かべる方が、より登場人物を身近に感じながら読み進められるからです。
作者の長月天音さん自身、葬儀屋での勤務経験があるそうで、描写がとにかくリアルです。
主人公の美空や漆原、その他登場人物たちの思いや行動が、時には快活に、時には繊細に描かれています。
人物それぞれに物語があるのが、この作品の面白さの一つだと思います。
特にご遺族やその関係者の心情やバックグラウンドが語られるシーンは、感情を揺さぶられる場面が多いです。
美空は作中で様々な試練に立ち向かい、仕事としても人としても少しずつ成長していきますが、決して綺麗事だけではないシビアな部分もしっかりと描写されているため、臨場感があります。
作中で美空は体力的にハードな業務も行っていますが、筆者の会社でも実際に、美空と同年代の女性スタッフが活躍しています。
一人で全てをやろうとする必要はなく、漆原のような先輩に力を借りながら、ご遺族の希望通りの葬儀を行えるよう尽力しています。
ここまでご紹介して『ほどなく、お別れです』に興味を持たれた方へ。
試しに一冊ずつ買ってみようというのも良いですが、一冊目を読み終えたら続きが気になること間違いなしなので、三冊イッキ読みを推奨します。
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ほどなく、お別れです(小学館文庫)全3冊セット [ 長月 天音 ]
ちなみに漫画版はこちらです。
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ほどなく、お別れです(1) (マンガワンコミックス) [ 長月 天音 ]
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ほどなく、お別れです(2) (マンガワンコミックス) [ 長月 天音 ]
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ほどなく、お別れです 3/長月天音/込由野しほ【1000円以上送料無料】
映画『ほどなく、お別れです』は2026年2月6日上映です。
葬儀屋を舞台にした作品がたくさんの人の目に触れることで、葬儀屋の仕事を今より身近に感じていただけたら嬉しいです。
スタッフの仕事に対する誇りや、ご遺族への思いが少しでも届いたら光栄に思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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